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医師のともコラム

COLUMN

医師の地域貢献:地域医療への参加と健康に関する啓蒙活動

 

医療の進歩とともに、医師には高い専門性と倫理観に基づいた医療の提供だけでなく、地域社会への貢献も期待されるようになっています。

 

今回は、医師が地域に貢献できる活動として、医療ボランティア、地域医療への参加、そして、健康に関する啓蒙活動について、具体的な事例や活動内容、関連情報を交えながら解説します。

 

医療ボランティア:専門知識と経験を活かす

 

医療ボランティアは、医師の専門知識や経験を活かして、医療支援を必要とする人々へ直接貢献できる活動です。国内の災害現場での医療支援から、開発途上国への国際医療協力まで、その活動は多岐に渡ります。

 

国内における災害医療支援

 

日本は地震や台風などの自然災害が多い国です。大規模災害発生時には、被災地で医療を提供できる医師が不足し、医療体制の確保が課題となります。

 

日本医師会は、「日本医師会災害医療チーム(JMAT)」を組織し、被災地への医療支援を行っています。JMATは、医師、看護師、薬剤師、調整員などで構成され、災害発生後速やかに被災地に派遣され、医療活動に従事します。

 

2023年の能登半島地震では、JMATは発災後すぐに被災地に入り、医療体制が整っていない状況下で、避難所での診療活動や、病院の診療支援などにあたりました。

 

被災地では、多くの負傷者や持病を抱える人々が、十分な医療を受けられない状況に陥っていました。JMATの医師たちは、限られた医療資源と人員の中で、持てる知識と技術を駆使して、被災者一人ひとりのニーズに合わせた医療を提供しました。

 

参考:JMAT本部 公益社団法人日本医師会

 

> 「発災直後から、医師、看護師ら延べ約1000人を現地に派遣し、被災者の救命や健康管理などに当たった。…被災地では、慢性疾患の悪化や、避難生活による体調不良を訴える人も多かった。JMATは、そうした人たちの診察や medication の管理なども行った。」(日本経済新聞 20231231日付朝刊)

 

また、各都道府県医師会でも、災害時医療体制の整備や、医師会員に対する災害医療に関する研修などを実施しています。

 

国際医療協力

 

開発途上国では、医師不足や医療施設の不足などにより、十分な医療を受けられない人々が多く存在します。国際医療協力は、そのような国々へ医療従事者を派遣したり、医療物資を供与したりする活動です。

 

国際医療協力NGOや、国連機関、JICA(国際協力機構)など、様々な団体が国際医療協力活動を行っています。

 

例えば、認定NPO法人ジャパンハートは、医療の届かない地域の人々に無償で医療を提供するため、世界中で活動を行っています。

 

カンボジアでは、小児外科医療の提供や病院の運営支援などに取り組んでおり、多くの患者さんの命を救っています。

 

ジャパンハートは、現地の医療従事者に対する技術指導や、医療設備の整備なども行い、その地域の医療水準の向上にも貢献しています。

 

参考:JICA「国際医療協力局」

参考:認定NPO法人ジャパンハート

 

> 「国内の医療機関を休職し、ジャパンハートの活動に参加する医師もいる。…『医療設備や物資が乏しい環境でも、工夫次第で患者を救うことができる』とやりがいを語る医師もいる。」(朝日新聞デジタル 2023115日付)

 

国際医療協力は、医師としてのキャリアアップにも繋がるだけでなく、異文化理解や国際貢献を通じて、医師としての視野を広げる貴重な経験となります。

 

地域医療への参加:地域のかかりつけ医として

 

高齢化社会の進展に伴い、地域住民の健康を守る「地域医療」の重要性はますます高まっています。地域医療とは、病院だけでなく、診療所、訪問看護ステーション、介護施設などが連携し、地域住民に切れ目のない医療・介護サービスを提供するものです。

 

地域医療の担い手としての医師

 

医師は、地域のかかりつけ医として、地域住民の健康管理、疾病予防、早期発見、治療、在宅医療など、幅広い役割を担っています。地域医療への参加は、顔なじみの患者さんとの信頼関係を築きながら、地域社会に貢献できるというやりがいがあります。

 

過疎化が進む地域では、医師が中心となって訪問診療を行う「在宅医療」が重要な役割を担っています。

 

定期的な訪問診療に加え、緊急時の対応など、24時間体制で患者さんの在宅生活を支える体制を整えている医療機関もあります。

 

在宅医療は、病院での治療が困難な患者さんや、住み慣れた地域で最期を迎えたいと希望する患者さんにとって、 Quality of LifeQOL) を維持するために非常に重要です。

 

> 24時間365日対応の在宅医療を掲げる医療機関も増えている。…医師や看護師が連携し、患者が安心して自宅で過ごせるようサポートしている。…顔なじみの医療従事者が自宅に来てくれる安心感は大きい」と話す患者もいる。(毎日新聞 2024219日付夕刊)

 

地域包括ケアシステムの構築

 

近年、医療費抑制と高齢者の増加に伴い、病院から在宅医療・介護への移行が進んでいます。地域包括ケアシステムとは、高齢者が住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、医療、介護、予防、住まい、生活支援が一体的に提供される体制のことです。

 

参考:厚生労働省「地域包括ケアシステムとは」

 

医師は在宅医療への参画、多職種との連携などを通じて、地域の高齢者の健康と生活を支えることが求められます。

 

例えば、高齢者のフレイル(虚弱)予防のための運動教室や、認知症予防のための講座などを、地域住民向けに開催する取り組みも広がっています。

 

医師は、そうした場において、健康に関する専門的なアドバイスを提供したり、地域住民の健康状態を把握したりすることで、地域全体の健康増進に貢献することができます。

 

> 「地域の医師会が中心となり、高齢者のフレイル予防に取り組む動きが出ている…。医師は『フレイルは早期発見と適切な対応で予防できる。地域ぐるみで高齢者の健康を支えていくことが大切』と話す。」(読売新聞オンライン 2023913日付)

 

健康に関する啓蒙活動:健康意識の向上に向けて

 

医師は、医療の専門家として、地域住民の健康に関する知識や意識を高める啓蒙活動を行うことも重要です。

 

地域住民向けの健康講座や講演会

 

健康に関する正しい知識や生活習慣病予防の重要性について、地域住民向けに分かりやすく解説する健康講座や講演会は、医師ならではの専門性を活かせる活動です。行政機関や公民館などと連携して開催するケースも多くあります。

 

例えば、生活習慣病予防のための食事や運動に関する講座、がん検診の受診率向上のための講演会、熱中症予防のための啓発活動など、様々なテーマで開催されています。

 

これらの活動を通して、医師は、地域住民の健康に対する意識を高め、健康的なライフスタイルを促進する役割を担っています。

 

メディアを通じた情報発信

 

テレビ、ラジオ、新聞、雑誌などのメディアを通じた情報発信も、健康に関する啓蒙活動として有効です。専門的な知識を分かりやすく解説することで、地域住民の健康意識向上に貢献できます。

 

近年では、インターネットやSNSを活用した情報発信も盛んになっています。医師が自ら情報発信を行うことで、より多くの人々に健康に関する情報を届けることができます。

 

医師が発信する情報は、その専門性と信頼性から、地域住民にとって非常に有益なものとなります。

 

> 「医師が監修する健康情報サイトや、SNSで情報発信を行う医師も増えている…。信頼できる情報源を増やし、健康リテラシーの向上につなげていくことが重要だ。」SankeiBiz 2024126日付)

 

学校保健活動への協力

 

学校保健活動は、児童・生徒の心身の健康を守る上で重要な役割を担っています。

 

医師は、学校医として、健康診断や保健指導などを通じて、子どもたちの健康増進に貢献することができます。

 

また、学校医として、成長期における健康管理や、メンタルヘルスの重要性などについて、児童・生徒や保護者に対して、講演会や個別相談などを通して伝える活動も重要です。

 

近年、子どもたちの間では、生活習慣の乱れや、ストレスによる心身の不調が増加しており、学校医の役割はますます重要になっています。

 

まとめ:地域貢献を通じて、医師としてのやりがいを

 

今回は、医師の地域貢献活動として、医療ボランティア、地域医療への参加、健康に関する啓蒙活動について解説しました。

 

これらの活動を通じて、医師は、医療の枠を超えて、地域社会に貢献し、人々の健康と福祉の向上に寄与することができます。地域貢献は、医師としてのやりがいを高め、キャリアの幅を広げることにも繋がるでしょう。