2025年2月、労働衛生コンサルタントの試験に合格しました。
合格された先生方のネット上の経験談が非常に参考になったので、私も記録しておきたいと思います。
合格までの道のり
受験動機
私は2002年に医学部を卒業し、精神科で研修を行った後、2009年から嘱託産業医をはじめました。
このころ産業医事務所を開業されている先生方のHPをみると、ほとんどの方が「労働衛生コンサルタント」の資格も取得していると書いてあり、私もより専門性を高めるために取得したいなと考えました。
しかし、当時は勉強方法について書かれたサイトがほとんどありませんでした。
ネット上で公開されている過去問を見るも、解説を読んでも何一つわからず・・・というと大げさですがとても勉強する気にはなれず、資格取得を断念しました。
それで産業医研修会を受講し、5年に1度資格更新をしていきました。
嘱託産業医をする企業は徐々に増え、多い時で8社訪問をしていましたが、産業医をする医師が増えてきたこともあり、徐々に案件に応募しても受からない、ということが増えていきました。
また、コロナ禍になり、密を避けるために研修会の定員が減り、研修会の予約が取りにくくなりました。
労働衛生コンサルタントの資格をもっていれば、産業医資格の更新が不要になりますし、案件に応募したときに有利になるかもしれません。
そこで「諦めていたけれど、やはり労働衛生コンサルタントをとりたい」と思い立ちました。
ネットで検索してみると、10年前とは違い、数々の経験談やコンパクトにまとめられた対策本がありました。
「これなら受かるかもしれない、受けよう」と受験を決意したのが2024年4月です。
筆記試験合格まで
早速「安全衛生技術試験協会」のホームページをチェックして、必要書類の取り寄せ、受験日や申請期間の確認を行いました。
医師免許のコピーは原本証明が必要とのことだったので、千代田区の試験協会に原本とコピーを持参しました。
また、筆記試験は①衛生一般、②法令、③記述があり、医師免許がある場合は②だけでよい、ということもこのときに初めて知りました。
②は15問で、合格のためには6割の正答率が求められます。2024年7月から筆記試験日の10月下旬まで、①衛生管理者第一種のテキストの法令のところを読む、②日本産業環境測定協会から取り寄せたテキストを読み、要点をまとめる、③過去問8年分を3周する。
間違えた問題は①②にもどって周辺の情報も再度読み直し頭に入れる、という勉強をしました。平均すると、勉強時間は1日1-2時間だったかと思います。
10月の試験日から数日後、労働安全コンサルタント、衛生コンサルタントの先生が管理しているサイトで解答速報が出たのですが、自己採点で12点/15点でした。
口述試験は1月下旬の3日のうちいずれかであり、どの日になるかは12月下旬に確定すると試験協会の方から聞きました。
私はクリニック勤務で毎日外来があったため、「いずれか1日休みます。12月下旬に確定するまで3日とも予約をいれないでください」と勤務先にお願いしておきました。
口述試験合格まで
筆記試験が終わった直後、Discordの勉強会に参加しました。
顔出しなしで、全国の受験生と口述試験の練習ができます。はじめはとても緊張しましたが、みなさんとても良い方で、徐々に慣れて楽しく練習できるようになりました。
みなさん参加頻度はまちまちでしたが、私は週2-5回参加していました。
ここでは、アマゾンで購入できる「これ一冊で完成」という本と、12月の保健衛生受験準備講習会資料、労働衛生のしおりなどをテキストとして、そこから問題を出し合うということをやっていました。
「労働衛生のしおり」は、初めはまったく頭にはいらなかったのが、練習を重ねてから読み返すとすらすらと読めるようになっていました。
仲間との練習会があると、「自分だけ全く答えられなかったら恥ずかしいから勉強しておかなければ」という気持ちになります。
ノートの左側に問題を書いて右側に回答を書き、右側を隠して回答をしゃべるという練習をしていました。
回答と答えを吹き込んだものをなんども聞いていた、という先輩方もいたので、効果的な勉強方法は、自分が書いて覚えるタイプか聞いて覚えるタイプかによると思います。
筆記試験よりも口述試験の方が覚えることが細かく、大変でした。10月から試験日までの3か月間、1日平均2時間ほど勉強していたかと思います。
2025年1月下旬、東京で口述試験を受験しました。私は産業医経験があったからか、どんな会社で産業医をしているか、職場巡視の時にどのようなことに気を付けているかなど、知識よりも経験に関する質問がほとんどでした。
知識に関する問題は、「3管理とは何か」「会社での個人情報の保護はどうするか」「職業がんを起こす化学物質で知っているものはあるか」などでした。
勉強した方ならわかると思いますが、いずれも超基本の質問です。
もっと難しいこと、細かいことを一生懸命暗記していたあの時間はなんだったんだ、と拍子抜けしました。
しどろもどろになりながらも、試験官の質問に全問答えることはできたのですが、果たして試験官が合格点をくださる回答だったのかどうかわからず、合格発表日まで不安でした。
合格発表のネット上で自分の番号を見つけた時は、「10年来の夢が叶った」と感無量でした。
まとめ
産業医資格の更新のための研修会に行く手間をなくしたいという不純な動機からの受験でしたが、勉強しているだけですでに、衛生委員会で自信をもって意見を述べられるようになったり、職場巡視で化学物質の表示など、これまで気が付かなかった点もチェックできるようになったりしました。
これまでよりも、企業の役に立っているなという感覚や充実感を感じることができました。
仮に今年合格しなかったとしても、勉強をして本当によかったと思いました。