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医師のともコラム

COLUMN

医師の情報発信力を高める方法:SNSやメディアとの付き合い方

 

新型コロナウイルス感染症への対応を通して、医療に対する一般の関心は急速に高まりました。

 

それと同時に、SNSやインターネット上で氾濫する真偽不明の情報が社会に混乱をもたらす場面も増えています。

 

こうした中で、医師が正確な情報を社会に発信する意義は、これまで以上に大きくなってきました。

 

一方で、「医療の専門家」という立場ならではの守秘義務やリスクマネジメント、さらには社会的信用の維持といった課題も存在します。

 

本記事では、医師がSNSやメディアを最大限に活用しながら、正しい情報を広く伝えていくための方法論と注意点を探ります。

 

 

医師が情報発信する意義

 

医師が情報を発信することは、単に知識を広めるだけではなく、患者さんや一般市民の不安を解消し、医療への理解を深めてもらうための重要な役割を果たします。

 

多くの人が抱える疑問や悩みに対して、医師ならではの観点で助言を行うことで、医療全体の質を高めることにもつながります。

 

正確な情報提供と誤情報の排除

 

インターネット上の健康・医療情報は、時として科学的根拠が不十分だったり、誤解を招く表現をされていたりする場合があります。

 

医師が正しいエビデンスに基づいた情報を発信することで、誤情報を上書きし、混乱を収めることができます。

 

厚生労働省でも、医療における正確な知識と幅広い情報提供の重要性を強調しており、「国民のための医療の質の向上」をキーワードに医療情報の適切な共有を促しています.

 

このように、医師の立場から信頼性の高い情報源を提示することで、患者さんや国民のヘルスリテラシー向上に大きく貢献できるのです。

 

患者との信頼関係構築

 

診察室の内外問わず、医師が自ら積極的に情報を発信することは、患者さんや一般の方々の安心感を高めるきっかけを生み出します。

 

特にSNSなどでは、医師個人の専門性や臨床経験に基づくコメントがリアルタイムで共有されるため、患者さんが身近に感じやすいメリットがあります。

 

さらに、医師の人柄や専門領域がわかることで、「この先生なら相談してみたい」という前向きな気持ちを抱いてもらうことも期待できます。

 

医師への信頼度が高まれば、治療方針の説明や生活習慣改善の指導などもよりスムーズに進むため、医師と患者の円滑なコミュニケーションにつながります。

 

 

SNS活用の注意点とメリット

 

近年利用者が増え続けているSNSは、情報発信のハードルが低く、即時性も高いため、多くの医師が魅力を感じるツールです。

 

ただし、その手軽さゆえにトラブルに発展しやすいリスクがあることも事実です。

 

SNSを安全かつ効果的に使うために、守秘義務やリスク管理への配慮が欠かせません。

 

リスクマネジメントと守秘義務

 

医師がSNSで情報発信を行う場合、患者さんの個人情報や診療内容に言及しすぎないよう、守秘義務を徹底する必要があります。

 

患者さんのプライバシーを侵害したり、特定されるような表現をしたりすると、法的トラブルに発展する可能性があるため、細心の注意を払わなければなりません。

 

各医学会においても、SNSやインターネット上での情報発信については慎重な姿勢を求めており、個人情報保護と誹謗中傷防止の観点からガイドラインを示しています。

 

また、業務上知り得た機密情報を公開してしまうと、医療機関の信頼度にも影響するため、内部規定などを確認しておくことが肝心です。

 

ブランド構築と知名度向上

 

一方で、SNSを正しく活用すれば、専門家としてのブランド力を高める大きなチャンスにもなります。

 

定期的に役立つ医療知識やヘルスケアのポイントを発信することで、「この分野ならこの先生に聞こう」と思ってもらえる認知度が得られ、専門家としての評価も上がります。

 

また、医療に限らず健康づくりや予防医学に関わる情報を積極的に発信することで、患者さんだけでなく一般市民のヘルスリテラシー向上に寄与できます。

 

SNSを通じて集まったフォロワーが学会発表や講演会の案内を目にすることで、学会や研究活動の情報拡散につながることも、学会や研究団体が注目するメリットの一つです。

 

 

メディアとの接点の持ち方

 

医師による情報発信には、SNS以外にテレビや新聞、雑誌などのオールドメディアも依然として大きな影響力を持っています。

 

一般視聴者や読者に広くアプローチできる一方で、ねじ曲げられた報道や一人歩きする見出しのリスクも考慮しなければなりません。

 

テレビや新聞取材対応のコツ

 

取材を受ける際は、簡潔でわかりやすい言葉を使うことが大切です。

 

専門用語が多いと、伝えたい内容が正しく伝わらなかったり、編集段階でカットされたりする可能性が高まります。

 

また、インタビューでの受け答えは、公の場で行っていることを常に意識し、個人的な感想や不確かな情報を軽々しく発信しないように心がけます。

 

ときには、医療の専門メディアから一般のニュース番組にまで幅広く呼ばれることがあり、その内容や視聴者層に応じた話し方や表現を選ぶ工夫が求められます。

 

厚生労働省の報道ガイドラインなども参考に、医療の専門性を適度に維持しつつ、分かりやすさや正確性を両立させるスキルを磨くことが大事です。

 

プレスリリースや専門誌寄稿

 

医師が所属する病院や医療機関が新たな治療法を導入したり、研究成果を得たりした場合、プレスリリースを活用する方法があります。

 

これは、メディアに向けた公式の情報発信手段であり、記事化やニュースとして取り上げてもらいやすいメリットがあります。

 

また、専門誌や学会誌への寄稿は、同業者や関連分野の専門家へのアピールとして有効です。

 

こうした論文形式の寄稿やレター記事は、自身の研究内容や臨床経験を体系的にまとめられる利点があり、学術的評価にもつながります。

 

一方、一般向けの媒体に寄稿する場合は、専門用語の使い方や引用の示し方を一般読者が理解できるように工夫することがポイントです。

 

 

賢い情報発信戦略

 

これまで述べてきたSNSやメディアへの露出は、その都度の対応だけでなく、中長期的な「戦略」を持つことで、より効果的に医療情報を届けることができます。

 

最終的には、プロフェッショナルとしての信頼感を高めながら、医師個人の活動や組織の理念を広く社会に知ってもらうことを目指します。

 

プロフェッショナルとしての立ち居振る舞い

 

情報発信する際には、単に「自分の知識を披露する」だけではなく、世の中のニーズや患者さんが求める情報に耳を傾ける姿勢が欠かせません。

 

専門家としての高い見識を示しながらも、招かれた番組や取材でのテーマをしっかり把握し、必要に応じてリサーチやエビデンスの精査をした上で発信することが重要です。

 

さらに、公の場ではポジショントークのみならず、他の専門家の意見や国際的なガイドラインを引用することで、説得力のある情報提供が可能になります。

 

日本医師会や日本医学会などが公表しているガイドラインにも目を通し、情報発信の基盤を明確にすることが求められます。

 

組織や学会との連携

 

個人で行う情報発信にも限界があります。

 

そのため、所属する病院や大学、または学会と協調し、統一した見解を示すことで信頼性が一層高まります。

 

たとえば、学会誌や学会ホームページと連動したSNSアカウントを運営しているケースもあり、医師個人が積極的に情報発信を行うことで相乗効果が期待できます。

 

さらに、周囲の他職種(看護師、薬剤師、管理栄養士など)や地域の医療連携機関との情報共有も密にすることで、総合的かつ実践的な発信内容を届けることができるでしょう。

 

結果として、医師が主体的に行う情報発信が、組織全体の信頼度アップや病院・クリニックのブランド向上にも結びつくと考えられます。

 

 

まとめ

 

医師による情報発信は、患者さんや一般の方々に対する正確な知識提供だけでなく、誤情報を排除し、医療の信頼性を高める重要な役割を果たします。

 

SNSの活用では、リスクマネジメントや守秘義務を遵守しつつ、医師としての専門性を堂々と示すことで、大きなメリットを得ることができます。

 

また、テレビ・新聞などの従来型メディアとの接点を賢く活かし、メディア対応のスキルを身につければ、多くの人々に届く情報発信が実現可能です。

 

さらに、組織や学会との連携を図りながら戦略的にアプローチすることで、単発ではなく継続的な信頼形成とブランディングが行えます。

 

情報が氾濫しがちな今だからこそ、医師ならではのエビデンスに基づくメッセージを明確に示し、市民や患者さんを正しい方向へ導いていくことが、専門職としての使命と言えるでしょう。

 

 

 

 

参考

・厚生労働省 医療法における病院等の広告規制について

・厚生労働省 医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書

・厚生労働省 医療機能情報提供制度について

・総務省 情報通信白書(コミュニケーションツール・SNS)

・日本泌尿器科学会 公式 SNS ガイドライン

・日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 学会活動におけるSNSの活用と留意点

 

 

 


 

 

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